特に夏によく起こる皮膚トラブルとして、汗疱、異汗性湿疹といったものが挙げられます。
ですが、実はこれらの症状は、「手荒れ」や「水虫」などと勘違いされ、間違えたケアをしてしまうことも少なくないのです。
きちんとケアをしていかないと悪化させてしまう恐れもありますので、正しく症状を見極め、正しいケアをすることが大切です。
そこで、そんな汗疱と異汗性湿疹の症状の違い、原因、治療法などについての情報を紹介していきます。
汗疱と異汗性湿疹の症状の違いとは?
まずは汗疱と異汗性湿疹と言われる皮膚トラブルについて、それぞれの症状や違いを知っておきたいですね。
汗疱や異汗性湿疹の症状は、主に手の平、足裏に起こりやすく、水ぶくれ、皮剥けといった症状が主なものとなります。
初期ではポツポツと水疱ができ、これは汗疱と呼ばれます。
ですが、これが悪化してくると、かゆみや皮剥けが起こってきます。
汗疱が破裂してしまい、皮が剥けてひどいかゆみを伴い、湿疹まで出てくるような状態になると、これは異汗性湿疹と呼ばれるものになります。
また、水疱を放置していると皮膚が乾燥してきて、ガサガサになるのも特徴の1つです。
水疱がたくさん集まって大きなものになるケースもあります。
これらの水疱や皮剥け、かゆみといった症状は、水虫などにも似ているため、勘違いして間違えたケアをしてしまう方も少なくありません。
水疱や皮剥けなどの症状が出てきた場合は、安易に水虫と判断せずに、原因は何なのか、皮膚科などできちんと診察を受ける方が安心ですね。
また、汗疱や異汗性湿疹の症状はクセになりやすく、1度なってしまうと、何度も繰り返してしまうことも多いのが特徴です。
原因と正しい対処法を知り、しっかり治療しておきましょう。
汗疱・異汗性湿疹の原因は?
汗疱や異汗性湿疹の症状は水虫とよく似ているにも関わらず、水虫の治療を行っても改善されないどころか、症状を悪化させてしまうこともあります。
なぜ似た症状なのに、治療法が違うのかと言えば、それは「原因」が大きく違っているからです。
水虫の原因は白癬菌というカビの一種が原因で感染しますが、汗疱や異汗性湿疹は「汗」が原因で起こるものです。
そのため、水虫のように感染してしまう心配はなく、菌をやっつける薬を塗布しても治らないのです。
ではなぜ、誰もがかく「汗」が原因で湿疹ができてしまうのかというと、これは「汗の出口がうまく開いていない」ということが問題となっています。
特に暖かい季節には汗をたくさんかきますが、何らかの原因で汗の出口がしっかり開いていないと、皮膚の内部に汗が溜まって水ぶくれを起こすのです。
そんな汗が原因の汗疱や異汗性湿疹は、特に手のひらや足の裏に多汗の症状を持つ方に起こりやすいことも分かっています。
また、界面活性剤などを多用する方は皮膚のバリア機能が低下し、特にこれらの症状が起こりやすくなると考えられています。
汗が原因の汗疱や異汗性湿疹ですが、実は意外と、大量の汗をかく夏よりも、春や秋など季節の変わり目に起こることが多いと言われています。
これは、汗をたくさんかく夏には、大量の汗の勢いで汗の出口が広げられるので、皮膚内部に溜まりにくくなるからです。
それから、汗疱や異汗性湿疹には「ストレス」や「自律神経の乱れ」が関係しているとも言われており、季節の変わり目には、これらの要因も増えることから、症状が悪化しやすいと考えることもできますね。
汗疱や異汗性湿疹の治療法は?
汗疱や異汗性湿疹ができてしまったら、正しい治療法でケアしていくことが大切です。
汗疱ができた時点で、できるだけしっかり対策していくことで、異汗性湿疹に悪化するのを防ぎたいですね。
汗疱の時点でできる対策としては、「汗対策」が大きなポインとになります。
汗をかいたら、できるだけこまめに拭き取るようにしましょう。
特に蒸れる季節は通気性に配慮した靴下や履物を選ぶことで、足の裏の汗疱・異汗性湿疹を防ぐのに役立ちます。
それから、汗疱が裂けて皮がめくれてきたり、強いかゆみを伴うような症状が出てきた場合には、ステロイド剤などを用いてかゆみを緩和します。
かゆみが強いままだと、掻き壊して症状を悪化させてしまう恐れがあるので、しっかりかゆみ対策をしていきましょう。
また、異汗性湿疹による炎症を抑えるために、抗アレルギー薬の内服を行う場合もあります。
さらに、汗疱や異汗性湿疹では皮膚がガサガサに乾燥してしまいやすいので、尿素の入ったクリームやローションでケアをしていきます。
きちんと保湿することで角質層が整い、症状が改善されやすくなります。
症状の見極めやステロイド剤、抗アレルギー薬による治療は、専門の医師でないと難しいものです。
まずは皮膚科を受診して、正しい治療を行っていくことが大切ですね。
汗疱・異汗性湿疹について~まとめ~
汗疱や異汗性湿疹は、悪化すると痛みやかゆみを伴う辛い症状です。
中には日常生活に支障をきたしてしまうような状態にまで、悪化してしまうケースもあります。
「汗疱かな?」という水疱ができてきた時には、できるだけ早めの段階で皮膚科を受診し、悪化させる前に正しいケアをしていきましょう。
決して自己判断で水虫の薬を使ってはいけません。
また、汗をこまめに拭き取り、蒸れないような衣類を心がけるなど、汗疱を予防するための方法も普段から実践していきましょう。